(3)社会不安障害(SAD)の克服中に感じたこと:SAD(社会不安障害)治療体験記

逆プラシーボ効果?

社会不安障害(SAD)の患者は定期的に薬を服用して日常の「不安」や「緊張」などの症状を抑えます。私も1日に1回、主に就寝前に薬を服用して精神の安定を保っています。

しかし、日常の習慣とはなっていても、たまに薬を飲み忘れてしまうことがあります。私の場合、その次の日は終日薬を飲み忘れてしまったことが頭から離れなくなってしまいます。

そんな日は気が気ではありません(ちょっと大げさ?)。

『人前で声が震えたらどうしよう…』とか、『顔が赤くなったらどうしよう…』などの考えが頭の中をぐるぐる駆け巡ってしまい、どうしても対人コミュニケーションが上手くゆきません。

実際の私の体験を語ります。

私は服の試着が苦手です。特にGパン等の場合、ほとんどの場合は店員さんがカーテンの向こう側でスタンバイしています。そして試着が終わるや否や、『お客様、サイズの方はいかがですか?』と声をかけてきてくれます。

私にとってはそれが苦痛なのです。

試着自体は良いのですが、その後に店員さんに見られてしまうことに抵抗があるのです。「用があったら呼ぶから勝手に試着させてくれ」などと自分勝手なことを考えてしまうのですが、店員さんにしたら私に嫌がらせをしたいのではなく、『サイズが合わなかったら裾上げを致します』ということなのですが、人と接触すること自体に抵抗を感じる社会不安障害患者の私にとってはそれが苦痛なのです。

ただし、これは社会不安障害の治療を始める前の話です。今では店員さんに『自分に合うサイズはありますか?』と積極的にたずねることができ、場合によってはそのコミュニケーション自体が楽しく感じることもあります。

でも、薬を飲み忘れた次の日は違うんです。

試着室に行く時にも、『店員さんに声をかけられたらどうしよう…』とか、『試着した後に店員さんに見られるのが嫌だな…』と思ってしまうのです。

このことについて診察時に医師の方にたずねてみると、『それは気持ちの問題だと思います。長い間薬を飲み続けていて、1日飲み忘れてしまったからといってすぐに薬の効果が切れることはありません。』と言っていただきました。

結局、気持ちの問題(逆プラシーボ効果?)だったのです。

あなたも社会不安障害の治療を始めたら、『昨日薬を飲み忘れたから人前であがってしまったらどうしよう…』と思う日があるかもしれません。

しかし、薬の効果はある程度『慣性』が働くために、1日飲み忘れてしまったからといってただちに薬の効果が切れることはありません

ですので、薬を飲み忘れてしまった次の日でも過度に気にせず、普段通りに振舞いましょう。

※ただし1日くらいでは特に問題はおきませんが、数日以上薬の服用をやめてしまうと強烈な副作用が起きることがあります。医師の指導を守らずに自分の勝手な判断で薬の服用を中止するのは絶対にやめてください

『薬の副作用』による眠気ではなかった?

以前、私は副作用の眠気に悩むにて、「昼間の眠気に悩まされることがあります。」と書いたことがあります。これは偽りのない、まぎれもない真実の言葉です。

朝食後、昼食後に薬を服用したときは気分が落ち着く代償として、
昼下がり~夕方ごろに強烈な眠気におそわれてしまうことが多々ありました。それこそ「『寝る』という選択肢以外に対処法がないのでは…」と思っていたくらいです。

この時は担当医の方に「日中に眠気が出る」ことを正直に伝えたところ、「朝、昼、夜」の3回の薬の服用を「就寝前の1回にまとめる」ということで日中の眠気を軽減させることで対処しました。

その方法でずいぶん改善したのですが、それでも日中に眠気に悩まされる日もありました。

そして本題に入ります。

最近、自分の左耳に「耳鳴り」を感じる日が続いたので、耳鼻咽喉科へと行ってきました。

受付で問診表をわたされた際、「現在服用している薬はあるか」という問いがありましたので、正直に社会不安障害の治療中で薬を服用していることを書いて受付に提出しました。

そして診察が始まる直前に看護士さんが「どんな薬をお飲みになっているのですか?」と問いかけてきたため、あらかじめ用意しておいた「お薬手帳」をわたしました。この手帳は薬剤師の方が患者が服用している薬を記載してくれるもので、その時に処方されている薬が別の医師にもすぐにわかる優れものです。

もしこの手帳が無いと複数の病院にかかったときに相性の悪い薬同士を処方されてしまう危険があるために、社会不安障害の治療を続けている患者には必須のものです(手帳は無料で薬局が作成してくれます)。

少し話がそれたので元に戻します。

看護士さんは「お借りしてよろしいですか?」と私に確認をとった後、その手帳をもって医師の元へと向かい、何やら医師が確認しているようでした。

そして診察が始まりました。

今回は「耳鳴り」に悩まされて来院したのですが、開口一番、医師から「昼間に強烈な眠気が起きてないですか?」と言われてしまい、びっくりしてしまいました。

もちろん、医師はプロですから、「お薬手帳」に記載されいる服用中の薬の名前を見ただけである程度は「眠気」の副作用があらわれていることもわかるのでしょうが、あまりにも言われたことが的確すぎて本当におどろきました。

そしていざ耳の中を診ると、すぐに耳鳴りの原因が「中耳炎」によるものであることが判明しました。

しかもこれは「慢性的な鼻づまり」からきた中耳炎であったらしく、これで「耳鳴り」「眠気」というキーワードが「鼻づまり」という言葉で見事につながりました。

勘の良い方はもうおわかりかもしれません。

そう、私は鼻づまりが原因で『睡眠時無呼吸症候群』にかかっていたのです。

社会不安障害の薬の副作用だと思っていた「眠気」は、実はこの睡眠時無呼吸症候群が原因で起こっていたものだったのです。

もちろん、私が服用中の薬には眠気がでるという副作用もあらわれるのですが、その耳鼻科医さんによると、「薬の副作用よりも睡眠時無呼吸症候群が原因で日中に眠気が出ている可能性が高い」ということでした。

その後、中耳炎の治療をした後に「鼻づまりを抑える薬」をもらい、耳鼻科を後にしました。

もし社会不安障害の薬の副作用が原因ではなく『睡眠時無呼吸症候群』が原因で眠気におそわれているのだとしたら、今回耳鼻科に行ったことでSAD治療にも何か影響が出てくるかもしれません。

SAD治療用の薬の副作用による眠気だと思っていたら、実は『睡眠時無呼吸症候群』が原因の眠気だったというお恥ずかしい話ですが、何か変わりがありましたらまた文をしたためたいと思います。

SSRI(パキシル)の副作用で攻撃性が増す?

2009年5月、厚生労働省が「抗うつ薬服用で攻撃性が増す疑いがある」という見解をあらわしました。

私も社会不安障害(SAD)の治療の一環として【パキシル】というSSRIを服用しています。ゆえにこのニュースを取り上げないわけにはいきません。


■抗うつ薬服用で攻撃性増す症状、厚労省が注意改訂へ

抗うつ薬を服用した患者に、他人に突然、暴力をふるうなど攻撃性が増す症状が表れたとの報告が約40件寄せられたため、厚生労働省は8日、「調査の結果、因果関係が否定できない症例がある」として、使用上の注意を改訂することを決めた。

対象となるのは5製品で、うち4製品はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)と呼ばれる。

厚労省などは、SSRIなどの薬を服用し、他人を傷つける行為が実際にあった35件と傷害などにつながる可能性があった4件について調査。パキシル(SSRI)など3製品を服用した4件について、「他人を傷つける行為との因果関係を否定できない」と評価したうえで、ほかの2製品も含めた改訂を決めた。

そううつ病のうつ症状やアルコール依存症などがある場合、その多くは薬を処方されたことで、症状が進んで攻撃性が増し、傷害に結びついた可能性があることが分かった。

新しい使用上の注意では、症状の悪化があった場合には、薬を増やさず、徐々に減らして中止するなどの慎重な処置を行うよう求める。

SSRIは、従来の抗うつ薬よりも副作用が少ないとされ、うつ病治療に広く使われている。国内でも100万人以上が使用していると推定されている。

※2009年5月8日 読売新聞より記事を引用



結論から言えば、確かに『ごく一部の患者に』そのような副作用があらわれることはあります。

しかし、これは以前から医学会では知られていたことであり、SSRIの副作用の一つとしてすでに認知されています。あらためてさわぐようなことではありません。

また、「タミフルの副作用」が一時期話題になったのと同じように、
マスコミはこうした問題を誇張して報道する傾向があるようです。

厚生労働省が問題にしているSSRIの副作用は国内で100万人とも言われている服用者のうちの『ほんのわずかな患者に』あらわれるものであり、通常の治療で私たち患者がこうしたSSRIの副作用を気にすることはありません

「ごくわずかに起こり得る副作用」を気にしてこうしたSSRIを服用するのをさけようとすることは「SADを治療する」という本道を見誤ることになり、本末転倒であると言えるでしょう。

医師の指導の下で適切な服用を心がけていれば問題が起こることはまずありません。

仮に治療中にそうした副作用があらわれたと思われる場合はただちに医師に相談し、その指示に従ってください。


追記

「SSRI 攻撃性」「SSRI 副作用」というキーワードで当サイトにお越しになる方がずいぶん多いので追記をしておきます。

改めて言いますが、確かに一部のSSRIに攻撃性が高まる可能性があることは指摘されていますが、国内で100万人とも言われる服用者のうちの極一部に起こる可能性があるに過ぎません。

また、マスコミはこういった問題を極端に報道する傾向があり、全てのSSRI服用者の攻撃性が増すかのような誤解が広がりつつあることは非常に残念です。

さらに言うと、マスコミだけの責任ではありません。これは私も含めてですが、「インターネット」という存在はどうしてもネガティブな情報の部分を強調してしまうきらいがあります。

私のようなサイトをもつ「情報発信者」「閲覧者」に対して、あるものごとで「ポジティブな部分」「ネガティブな部分」の比率を「50:50」で伝えたとしても、閲覧者は「ネガティブな部分の『50』」の方が強烈に印象に残ってしまいます。

これは人の心理でもあるので仕方の無い面もあるかとは思いますが、「インターネットの負の面」だと思います。

今回の「SSRIの副作用で攻撃性が増す可能性がある」という報道に関して言えば、「国内で100万人とも言われる人たちがSSRIによってどんなに救われているか」という事実を忘れて、その「副作用の面」ばかりが強調されることはまことに残念であると言わざるを得ません。

『私たちの気持ちを理解してほしい』とは言いませんが、「私たち精神的な病をもつ人たちはそれぞれに苦しんでおり、SSRIによって少なからず救われている」という事実があることは理解していただきたいと思います。